05月16日
(月)
2022年
化学業界の再編は、研究開発にも変化をもたらす
新型コロナウィルスの流行は、ほぼすべての産業に大きな影響を与えていますが、デロイト社の調査レポート(英語)では、化学産業が歴史的な変化を遂げることを予測しています。
レポートの大部分は、持続可能性に関する消費者と政治の意識の高まりに直面する中、経済がどのように回復するかについて述べていますが、これらの変化が化学産業の企業組織における研究開発体制に与える影響についても、次のように言及しています:
「2019年9月から2020年9月の間に、米国の化学業界では全就業者の2%に相当する14,500人の雇用が削減されました。この期間、業界では32,100人の生産職が失われましたが、研究者や科学者を含む非生産職は17,600人増えました。科学者やエンジニアなどの研究開発経験者や、持続可能性の推進を促す分野の従業員の需要が高まっています。分析、情報技術、技術的能力を備える職種の割合は、2021年も引き続き増加すると予想されます。」
関連記事:4人の情報プロフェッショナルが、化学系司書が習得すべきトップスキルを紹介(英語)
化学産業の研究開発における戦略的イニシアチブとは?
デロイト社のレポートによると、「コアビジネスプロセスのデジタル化」はすでに化学業界の業務遂行環境に影響を与えており、2020年には多くの組織でリモートワークが重要な役割を果たすこともあって、さらに強化されることが予想されています。
研究開発部門のリーダーにとって、コアプロセスのデジタル化は、会社の時間を節約し、より戦略的な支出を可能にする効率的な研究手法に重点を置くことを意味します。研究開発組織がプロセスを近代化する方法はいくつかあり、リモート環境でも研究所でも、従業員にメリットをもたらします。研究開発組織が戦略を強化するための方法を紹介しましょう:
科学文献へのアクセスを合理化
Outsell社の最新調査(英語)によると、業務関連コンテンツの共有率は2016年から3倍になっています。また2020年には、リモートで働く調査対象者の34%が、パンデミック下でコンテンツを共有する頻度が高まったと報告しています。
重要な出版コンテンツに迅速かつ安全にアクセスできなければ、研究開発者は効率的に仕事を進めることができず、イノベーションのペースが遅くなってしまいます。化学者から規制当局、競合情報まで、企業はさまざまな分野で科学文献に依存しています。STM情報にアクセスし管理するための合理的なアプローチがなければ、一貫性のないコンテンツ取得方法、非効率な支出、企業の大きなイニシアチブとの不整合という結果になりがちです。
接続性の課題解決に向けたコラボレーションスペースの創設
研究者は、地理的・部門的な垣根を越えてチームメンバーとコミュニケーションをとる必要があります。しかし、コラボレーションツールを導入していない場合、社員は各自のハードディスクにコンテンツを保存していることが多く、共有された情報を整理することは不可能です。また、ほとんどの社員がリモートで仕事をしているため、他の社員のデスクに出向いて特定のレポートや規制当局への提出書類がどこにあるのかを尋ねることは、あまり現実的ではありません。
今日の化学関連組織では、従業員が共有ライブラリースペースを設定し、権限のあるチームメンバーが同じ情報にアクセスし、ドキュメントにコメントしたり、注釈や評価を追加できるようにする必要があります。
データソースを統合し、必要な情報をスマートに取得する
研究開発チームは、同じ検索を何度も繰り返すことなく、さまざまなソースから関連情報を取得する必要があります。「Findable(見つけることのできる)、Accessible(アクセスできる)、Interoperable(相互運用できる)、Reusable(再利用できる)」を原則とした「FAIR」データ(英語)は、このコンセプトが中心となっています。
複数データソースの統合は、効率的な検索に役立ちます。助成金、特許、競合情報、内部文書、科学文献のいずれを検索する場合でも、理想的な戦略には、情報のサイロ化による非効率性を解消する、オープンでスケーラブルなソリューションが含まれることになります。
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著作権のコンプライアンスを重視
2020年のOutsell社による調査では、著作権に関する社員教育が行われているにもかかわらず、47%の社員が組織の著作権ポリシーを知らない、または詳細を知らないという結果が出ています。
社員がリモートでより多くの情報を共有するようになったことで、著作権コンプライアンスの重要性を改めて強調する必要があります。従業員による出版コンテンツの再利用と、確実なコンプライアンスおよびライセンスプログラムのバランスを取ることで、化学業界の企業は今日のコンテンツ共有の増加を活用し、コラボレーションのサポートを通じてイノベーションを推進することが可能になります。
リモート環境の従業員を管理しながら著作権にも適切に対処する取り組みに関する、T. Rowe Price社のJohn Zevitas氏のブログ(英語)もぜひお読みください。
その他の関連情報:
2020年における情報探索と消費の動向調査(英語)
化学分野の研究者がオープンアクセスをもっと利用するために(英語)
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※本ブログ記事は2021年2月16日に原文が投稿されたものの翻訳となります。