09月22日
(木)
2022年
ナレッジマネジメントとインフォメーションマネジメントの最新トレンド―その先頭に立つために
※本ブログ記事は2020年6月2日に原文が投稿されたものの翻訳となります。
ナレッジマネジメントは、ビジネスにおいて目新しいプロセスではありません。多くの企業は、公式・非公式両方の手段で、データ、情報、専門知識を長期的に保有し、関係者に提供してきました。また、インフォメーションマネジメントの概念も目新しいものではありません。組織は、デジタル時代のはるか以前から、学術雑誌などから情報を取り込み、管理してきました。
しかし、今日の研究開発組織は、戦略的な観点から、知識と情報の扱い方の見直しを迫られています。
Double L Digital社のPhill Jones博士は最近、ナレッジマネージャーから情報科学者、上級研究員まで、研究開発情報分野で活躍するさまざまな人にインタビューを行い、その結果をCCCの独占ホワイトペーパーに発表、データ、知識、情報管理の将来を見据えて、展望と戦略的アドバイスを共有しています。
4IR(第四次産業革命)の世界では、データや情報のソースが多数存在します。社会的研究活動の最も伝統的な指標である学術雑誌の論文数だけを見ても、その規模が拡大していることが分かります。STM協会によると、毎年約240万件の論文が発表されており、18年ごとに倍増しています。この傾向は、研究費の増額と学術界の生産性向上のためのインセンティブが主な要因です。米国では連邦研究費の60%がライフサイエンス分野に向けられています。この状況からすると、多くの研究者が最新情報を入手し、関連情報を見つけるのに苦労していても、不思議ではありません。
ナレッジマネージャーやインフォメーションマネージャーは、過去20~30年の間に、購読している情報源やライセンスを数、種類ともに着実に増やしてきました。このホワイトペーパーのインタビュー対象者となった専門家は、化学構造のデータベース、臨床試験情報、医薬品参考資料について話しており、また新薬パイプライン情報、特許、医薬品承認パッケージ、プレスリリース、さらには金融規制当局への提出書類についても触れています。これらの内容を総合すると、基礎科学から競合情報、市場パフォーマンスに至るまで、創薬サイクルのあらゆる段階において、連続的な情報源が存在することになります。
4IRの波を受けて、関連する情報源の数はこれまでにない速さで増えていくことが予想されます。非従来型のデータソースも増えています。例えば、デジタルバイオマーカーをモニターするウェアラブル端末、オープンデータリポジトリ、遺伝的特徴を含む集団データなどですが、その他、全く新しいソースからも大量のデータが生み出されています。
このように非従来型の新しいデータソースが増え、多様化すると、前例がなく、予測が困難な機会や課題が生まれてきます。データの統合は特に難しい課題となります。製薬会社の情報グループで管理職として働いているある社員は、次のように述べています。
…ほとんどの製薬会社には生物情報学者や情報科学者がいて…お察しの通り、より分析的な方法で非従来型の情報源を利用しようとしていますが、情報グループの仕事は、彼らのやっていることは別物と言えるかもしれません。
新しいタイプのデジタル情報が登場するたびに、ナレッジマネージャーとインフォメーションマネージャーは中心になって、これらのデータソースを取り込み、管理するための新しいワークフローを定義する必要があります。最も重要なことは、自分自身やサポートする研究者のワークフローの負担を増やすことなく、これらの新しいデータ形式をどのように統合できるかを考えることです。
Double L Digital (DLD)社について
DLDは、革新的な製品を市場に10年間も創出し続ける経験を持つPhill Jones博士によって所有・運営されています。同博士は、DLDを設立する以前は、Emerald Publishing社のCTOを務めていました。また、Digital Science (DS) 社では、DS Consultancyの上級職を含む一連の役割を担ってきました。また、出版社のソート・リーダーシップ活動を主導し、PDA(利用者主導の獲得)や記事シンジケーションのビジネスモデルを開発しました。Journal of Visualized Experiments誌の初代編集長であり、学術通信技術分野で影響力のあるソートリーダーでもあります。専門分野は、製品・技術戦略、市場主導のデジタル・イノベーション、学問の展望の変化など多岐にわたります。元学際的研究者。ロンドンのインペリアルカレッジで物理学の博士号を取得し、ハーバード大学医学大学院で神経科学の教員を務めました。