03月08日
(水)
2023年

科学文献へのアクセス性の向上による競合情報分析チームの強化


 

膨大な量の科学文献や科学データを手作業でふるいにかけることは、研究開発型企業にとっては分野を問わず頭の痛い問題です。特に競合情報分析チームは、自社製品の市場投入戦略を策定するうえで重要な情勢把握を担っています。ここでの情報の見落としは、非常に大きな損失につながるおそれがあります。

ライフサイエンス、化学、食品といった業界の研究開発型企業は、科学文献および科学データの包括的な利用戦略を立てる際に、競合情報分析チームのことを考慮する必要があります。そうしなければ、好機を逃すことになりかねません。

競合情報戦略について考える際には、次のような問題を検討する必要があります。

 

連携して競合情報を監視する手段はあるか? 

 

論文、プレスリリース、学会誌、その他のデータが、さまざまなシステムや拠点に分散して保存されているということはないでしょうか。そうなると、競合情報を監視する役割を担っているすべての担当者が、目的のコンテンツにアクセスし、共有することができていないかもしれません。よく耳にするのは、社員が個人用のハードディスクにコンテンツを保存しているという状態です。これでは、新しい資料を入手した時の連携がきわめて難しくなります。

コンテンツの購入、整理、連携のために便利なワークフローが一つあれば、競合情報分析チームは連携と情報共有に必要なツールを手にすることができます。ユーザーは共有ライブラリツールを使用して、承認されたチームメンバー用のライブラリを作成できます。そのライブラリがあれば、特定の製品、成分、治療、研究テーマに関連するすべての情報にアクセスできるだけでなく、それらの情報に注釈やハイライトを付けることもできます。また、自動アラートを設定すれば、自ら検索しなくても、注力分野に最も関連性の高い情報を入手できます。

 

データソース全体を横断的に検索するプラットフォームはあるか? 

 

特許、売上予測、学術論文、臨床試験情報、ポスター発表などのデータにアクセスする機能は、市場を包括的に捉えるうえで不可欠です。

複数のソースにあたらなければ必要なすべてのデータを見つけることができないとすると、膨大な手作業が必要になります。 公開ソースの利用許諾コンテンツのデータと社内の独自データを単一のインターフェースにまとめれば、手作業ではなく直感的に、競合情報の点と点を結ぶことができます。

これはナレッジグラフが重要な役割を果たす分野でもあります。次に示すのは、『How Knowledge Graphs Solve a Diverse Set of Business Problems(ナレッジグラフはさまざまなビジネスの問題をどのように解決するか)』からの引用です。

「ビジネスインテリジェンスの分析を専門とするグループが、特定の疾患の治療薬の開発状況に関心を持っているとします。この場合、情報を取得するには、科学文献、医学文献、臨床試験データベースを横断的にリンクさせることが必要です。さらに進んで、ビジネスインテリジェンスの全体像を構築するには、より多くのソースから情報を取得する必要があるかもしれません。分析チームは、新薬パイプラインと臨床試験データから、競合他社が何に投資しているかを知ることができます。証券取引委員会への申請、業界ニュース、特許出願から、それらのパイプラインとM&Aの関連性が見つかれば、さらに有力な手がかりが得られます。さまざまな形態と規模の情報が入ってくる、全く異なる情報源を複合グラフとして相互参照することができれば、卓越した知見が得られることは想像に難くありません」

 

大量のデータをまとめ上げるツールはあるか?

 

複数の社内外のデータソースを一箇所にまとめると、情報過負荷を引き起こす可能性があります。しかし、そのデータの統合と解釈に役立つ自然言語処理ツールやセマンティックエンリッチメントツールなどの高度な機能があれば、膨大なデータに圧倒される心配はありません。

テキストマイニングにより、競合情報分析チームは、膨大な量の情報を自動的に素早く分析し、特定の研究トピックに関連する非構造化テキストソースから、データ、主張、事実を抽出することができます。

例えば、Linguamaticsのパートナーは、ある企業がどのようにテキストマイニングを利用して、データを抽出、正規化、可視化し、それを商業戦略につなげたかを述べています。

「この会社は、科学雑誌、抄録、学会発表論文から抽出された構造化データを利用して、自社が入り込める市場の『隙間』を包括的に理解しました。同社は、免疫疾患の特定の治療領域に焦点を当てて、これらのさまざまなデータソースにわたって再現率の高い正確な検索方法を開発したのです」

セマンティックエンリッチメントについては、競合他社の特許出願文書を考えてみてください。特許出願文書と合わせて、同じ語彙で検出された非特許文献(NPL)を調査することで、競合他社の戦略、特許請求の範囲、先行技術の全体像を把握し、情勢分析やその他の目的に利用することができます。

 

もっと読む:

4 Key Reasons Why Information Specialists and Research Scientists Should Search Patent Databases(英文記事)
What is Data Integration – And How Do Modern R&D Organizations Approach It?(英文記事)
How Does Aggregated Search Work?(英文記事)

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