03月31日
(金)
2023年

なぜ非公式な情報共有が組織の妨げとなるのか



この記事は私の最近のプレゼンテーションで、現在ストリーミング配信中の「The Strategic Value of Copyright Licensing Solutions(著作権ライセンスソリューションの戦略的価値)」からの抜粋です。

大抵の企業には著作権ライセンスポリシーがありますが、それでも否定できないことが1つあります。それは、まさに今も多くの非公式なコラボレーションが行われていることです。 2023年の「Information Seeking and Consumption Study」によると、従業員の23%が完全なリモートワーク環境で、41%がハイブリッド環境で業務を行っています。再び出社する従業員が増え、ワークプレース・モデルがさらに進化すると、情報共有の行動も変化するでしょう。非常に多くの人がリモートで作業しているため、一緒に資料を見たり、雑談の延長で論文について議論したりするかわりに、オンラインでコラボレーションが行われるようになっています。

一般的に、公開された情報を使用して共同作業を行っているのは、特に研究開発型の企業では、研究者がほとんどだと思われています。しかし、2023年のOutsellのデータによると、ナレッジワーカーだけでなく、エグゼクティブレベルの人たちも、他の人たちよりはるかに多くのコンテンツを共有しています。その数は週平均で20回、10人にのぼります。

経営幹部層だけでなく、公開された情報は組織の至るところで使用されています。考えたこともないかもしれない例をいくつか紹介しましょう。

 

社内プレゼンテーション

 

社内研修のプレゼンテーションや会議で、社外の状況に関する仮定の裏付けとして市場統計や消費者心理を取り上げるために、公開されたレポートの情報が利用されていることがあります。社内のプレゼンテーションであっても、情報を共有するには、然るべきライセンス許諾が必要です。「社内だけだから大丈夫だろう」と考えられていることが多いのですが、これは非常によくある、間違った思い込みです。

 

競合情報の監視

 

競合情報分析チームは、R&Dチームほど情報の収集や展開を行っていないと考えられているかもしれませんが、新しいテクノロジーや顧客の引き付けおよび繋ぎ止め策の開発で競合しているかぎり、競合情勢の理解は不可欠です。競合情報分析チームは多くの場合、専用サイトを設置して、直接の競合他社に関連するニュース記事、出版物、プレスリリース、その他の資料をまとめ、必要に応じて、組織の他部署が利用できるようにしています。

 

規制対応

 

組織が規制に基づく申請を政府機関に行う場合、製品またはサービスの有効性や安全性の文書化が必要な場合があります。そのためには、法務部門のメンバーは、自社の主張を裏付ける論文を見つける必要があります。規制対応として政府機関にそれらの資料を提出する場合も、適切な許諾を得ていることが重要です。ライセンス戦略が整備されていない場合は、許諾の再確認や追加申請が必要になることもよくあります。

 

他社との連携

 

組織内のチームメンバーが別の組織 (エージェンシーやパートナーなど) のメンバーと共同作業を行う場合、「みんなで1つのチームだから、論文を渡すだけなら問題ないはずだ」と思われていることがありますが、これは間違っています。それでも、共有しても軋轢は起こらないため、著作権を遵守していないことに気づきません。

 

コンテンツを迅速に再利用するには企業全体の戦略が不可欠

 

始終発生している非公式のコラボレーションは、より構造化されたフレームワークにおいても、十分にサポートされているとは限りません。上述した例は、企業全体のコンテンツおよびライセンス戦略策定に取り組む際に、検討に含める必要があるビジネス分野のほんの一部です。

迅速にイノベーションを推進するには、企業全体が情報にアクセスできるようにする必要があります。組織内の情報集約グループ(R&D、経営幹部、研究者など、外部から情報を大量に取り込み、処理し、再利用することを必要とする人々) だけでなく、情報がサイロ化されなければ、恩恵を受けることができる部署は他にもあります。

コラボレーションに不可欠な情報の流れを止めたくはありませんが、従業員が非公式に論文を渡すと、コンテンツ自体の戦略的価値の大部分が失われる可能性があります。ライセンス許諾を受けたコンテンツから得られるメリットは、言葉では表しきれません。

覚えておかなければならないのは、多くの人がリモートで作業していることは事実でも、完全に1人で作業している人はいないということです。人々はチームやグループで作業しているので、それらのグループ内で関連する情報を利用して、共同作業ができるようにしておく必要があります。著作権ポリシーとライセンス許諾ソリューションを整備することで、組織は確実に著作権を遵守したうえで、共同作業を行うことができます。