05月12日
(月)
2025年
AI利用の増加により世界中で著作権コンプライアンスのリスクが浮上
By Beth Johnson
本ブログ記事は2024年10月31日に原文が投稿されたものの翻訳になります。
人工知能(AI)は、日常業務の自動化からディープデータ分析の実現まで、各業界を革新する可能性を秘めています。これらのテクノロジーが急成長を続ける一方で、世界中で見られる係争中の訴訟や法的な不確実性は、AIの力を活用しながら、著作権法を尊重する必要性を浮き彫りにしています。
生成AIシステムを強化するには、著作権で保護されている著作物も含めて、責任ある方法で調達された、質の高いトレーニング素材が不可欠です。このような素材を元にすることが、誤情報、偏向、その他の有害な結果を招くリスクの軽減につながります。しかし、著作権で保護されている著作物を許諾なくAIに利用すると、法的請求が関わる問題になり、企業評価の低下や財務上の損失を引き起こす恐れがあります。
経営者は、著作権で保護されている著作物をAIに利用する場合の法的な潜在リスクをますます意識するようになっています。「デロイトによる企業における生成AIの状況、第3四半期レポート(Deloitte’s State of Generative AI in the Enterprise Quarter Three Report)」(2024年8月)によると、調査の回答者は、生成AIツールやアプリケーションの開発および展開の成功を阻む4大障壁の中に、法規制コンプライアンスに関する懸念とリスク管理の難しさを挙げていました。
著作権に関する懸念は、以下のように、AI開発および利用のいくつかの段階で生じます。
トレーニングデータ:AIモデルは学習するためにデータを必要とします。トレーニングにおいては、著作権で保護された著作物を、通常は大量にコピー(複製)および保存します。
インプット:著作権で保護されたコンテンツをAIシステムにアップロードして、要約、分析、翻訳などの特定のタスクを実行させる場合も、コピーの作成や利用に関わります。
コンテンツ生成:AIは、トレーニングで使用した、著作権で保護されている著作物の派生物、あるいは実質的に同等のアウトプット(テキスト、画像、音楽など)を作り出すことがあります。
適用される著作権法に基づく許諾を得ていなければ、あるいは著作権法上認められている特定の例外的な利用に該当しなければ、これらの利用はすべて著作権侵害リスクをはらんでいます。著作権コンプライアンスについては、AIのグローバルな性質ゆえの固有の課題もあります。それは、国によって著作権法が異なるためで、そうなると、ある国の司法では「例外」扱いになる利用法でも、国が違うと「侵害」になることがあります。
このような複雑な法的状況に対応しながら、生成AIのメリットを活かすのは容易なことではありません。では、グローバル企業はどのようにすれば、リスクを管理しながら、AIによる機会を拡大することができるでしょうか?
ライセンスの確保は、不確実性とリスクを排除するにあたって、極めて重要なステップになりえます。ライセンシング契約を結ぶと、ユーザーはコンテンツを特定の方法で利用する許諾を得ることができます。AIについては、トレーニングデータセットに著作物を利用することのみ許諾される場合もあれば、コンテンツをさらに下流で利用することが許諾される場合もあります。世界中の従業員に適用されるライセンスがあれば、組織は法的リスクを軽減しつつ、全従業員にAIツールを有効活用させることができます。ライセンシング契約の積極的な管理は、世界に分散した従業員の間でコンプライアンス、業務効率、安定した生産性を維持するのに不可欠です。
CCCは、数十年にわたってコンテンツユーザーをサポートし、ユーザーのグローバルチームがコンテンツを組織内で利用できるように、効率的で整合性のとれたライセンシングソリューションを提供してきました。CCCの 年間契約型著作権ライセンス(ACL、日本においてはJAC DCL)には、現在、合法的に取得されたコンテンツの組織内におけるAI利用についても、整合性の取れた一連の権利が含まれています。
AIは、業界を変革すると期待されていますが、その開発にあたっては、システム構築の元になる著作物の著者、アーティスト、その他のクリエイターの知的財産権を尊重する必要があります。国境を超えて一貫性があるライセンスを取得することで、企業は著作権コンプライアンスを遵守しながら、AIの力を活用することができます。AI が発展し、状況が不確かなまま進化する中、組織がこの変革力のあるテクノロジーを活用するには、常にコンプライアンス努力の先頭に立つことが不可欠です。
責任あるAI利用はライセンシングから始まります。研究開発を推進し、組織内業務を改善するためにAIシステムの導入を検討している企業に向けて、CCCの ACL とマルチナショナル著作権ライセンス (英語)はいずれも今では、組織内利用を対象としたAI利用権を含んでいます。当社のライセンシングソリューションについては、 ここをクリックしてお問合せください。著作権とAIについてさらに詳しくは、AIと著作権およびライセンシングのリソースページ(英語)をご覧ください。